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ミズキ ゲジゲジ

新撰組風雲録

新撰組風雲録

近藤勇が主人公の新撰組の物語です。
新撰組は、いろいろなところで取り上げられていますが、水木せんせいの描く新撰組は、ほかとはひと味違います。
みんな何とも人間くさくていいのです。竜馬暗殺の犯人に仕立て上げられた原田が「怖くて表を歩けない」とか言ったり、土方に「俺達が時代に遅れてるんじゃないかな」と言わせてみたり、彼らはフツーの人間です。
それに思い切りがよいというか、だって沖田が死ぬ描写が一切ナシですよ。新撰組を取り上げて、考えられないですよね。
新撰組が嫌いな人にこそ読んでほしいと思います。きっと、彼らのことが好きにになりますよ。

ヤモリビトpoints!

新撰組風雲録

近藤が板橋で処刑される場面です。
「残さなくてもいいような負け惜しみめいた詩を残してはみたものの、それで気持ちがサッパリするわけでもなかった。ただあるのは犬や猫と同じように、なんとなく死にたくないという気持ちだけだった」
近藤の死を前にして、こんなこと書けるのは水木せんせいだけでしょう。
豪傑武人に描かれることが多い、近藤をはじめとする新撰組ですが、こういう気持ちだってあったはずですよね、人間ですから。
こういう感性は、本当にスゴイと思います。


初版:1978年5月1日
出版社: 新人物往来社

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